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日本人と働くなら確認したい日本の仕事観と6つのビジネスカルチャー

日本人と働くなら確認したい日本の仕事観と6つのビジネスカルチャー

もちろん、日本も例外ではありません。自分の国では当たり前の振舞いも、不可思議に映る日本のビジネスカルチャーは少なからず存在します。そこで今回は日本人の仕事観をはじめ、日本ならではのビジネスカルチャーを取り上げ、日本でのビジネスライフに役立つ情報を紹介していきます。

日本人と円滑にビジネスを行うには、どのような点に配慮すべきなのでしょうか。

1. 日本の仕事観と誕生の背景

日本のビジネス界における代表的な習慣でよく取り上げられるのが、終身雇用・年功序列・正社員主義です。

入社して定年するまで同じ企業で働く「終身雇用」の制度は、日本が高度成長期に入る1950年代、人材の長期的な確保を目的に導入されます。
これに伴い、勤続年数や年齢に呼応して昇給し、役職が上がる「年功序列」も定着しました。そのため、現在でも多くの会社で、入社した年や勤続年数によって社員の序列が決まる「タテ社会」が出来上がっています。

「正社員主義」の正社員とは、日本独自の雇用形態で契約された被雇用者で、すべての所定労働時間を働きます。一般的に正社員は雇用契約の期間を定めず雇用されます。

これに対して、一定の雇用期間を定めてから雇用契約する非正規労働者も存在します。正社員はフルタイムワーカーと混同されがちですが、フルタイムワーカーは日本では非正規労働者に該当するため、同一の雇用形態ではありません。

被雇用者は正社員として働くことで、社内での福利厚生・仕事上の責任・出世の有無に関して非正規労働者よりも優遇され、安定した収入や生活を得ることができます。

このような、仕事に関する統制が確立していく中で、多くのビジネスカルチャーが生まれました。
その代表的例が、「個」ではなく集団としての「チームワーク」に重きを置く考え方です。これから何十年と業務に共に取り組むであろう 仕事仲間との調和を大事にし、規律を守って仕事に取り組む姿勢が重んじられます。

2. 外国人ビジネスパーソンが困惑しやすい日本のビジネスカルチャー6選

日本には、自己表現の方法・時間感覚・クライアントや上司への接遇方法など、世界の常識とは異なる慣例やビジネスカルチャーがあります。相手への敬意や社会のルールを重んじる日本社会では、ビジネスにおいてもしっかりと常識が守れる人間であるかをチェックされます。

ここでは、日本に訪れたビジネスパーソンが困惑しがちな日本のビジネスカルチャー6つを解説します。

2-1. 「謙遜」が美徳とされている

「今回のプロジェクトの成功は君の働きによるところが大きいよ」
「いえいえ、私なんか大したことはありません。みなさんのおかげです」

業績に対する称賛の言葉を贈られても率直に受け取らず、反対に周囲を持ち上げることは日本人特有の姿勢でしょう。

これは、「謙遜」が美徳という考え方を日本人が持っているためです。日本では、人々は自らをへりくだり、控えめな態度をとることで、周りの人々との調和を重んじ、良好な関係を保つ努力が大切にされます。さらに、場の調和を保てる人が、できるビジネスパーソンと評価される傾向もあります。

自分のことを実際より低く見せることで相手の地位を高め、尊敬を示そうとする心遣いを表す日本特有の文化コミュニケーションと言えるでしょう。

2-2. 仕事第一主義の歴史が長い

日本企業ではプライベートや家庭よりも仕事を優先する「仕事第一主義」を通す人々が存在します。
これは高度経済成長期に、労働者が寝る間を惜しみ働いていた名残です。長時間の残業をしたり、休日を返上したりする働き方を良しとする仕事第一主義は長く日本のビジネスに根付いてきました。

しかし、近年は仕事第一主義の考え方も変わりつつあります。若い世代を中心にプライベートを優先したいと考える人が増えています。
2017年に日本の内閣府が実施した調査では、16歳~29歳の若年層の6割以上が「仕事よりも家庭・プライベートを優先する」と回答しています。

時代が変わりライフワークバランスを考える風潮へとシフトしている現代では、政府も「働き方改革」を推進し、長時間労働是正の取り組みを促しています。

2-3. プロジェクトは結果の前に過程を重要視する

日本のビジネスシーンでは、結果を出す前のプロセスは、最終的な結果と同じくらい重要視されています。チーム内の意見が違えば、プロジェクトの方向性がブレてしまい、仕事の効率が落ちるためです。

日本の会議では、議論ではなく、現状報告や共有、今日事項に対する意見の発信のみが行われることも珍しくありません。そのため、日本ではいくつもの会議が開かれ、プロジェクトの進行に合わせて現状報告書の提出を何度も求められます。

一見無駄と感じられる会議であっても、「関係者に情報を共有し、チームで意思決定をする」という目的を持っており、日本におけるプロジェクトの成功手法の1つと言えるでしょう。

2-4. 相手を尊重しお客様・上司を尊敬する

日本では、クライアントや上司に尊敬の意を表すことは社会的な常識とされています。クライアントや上司が事実と異なる間違った行動や発言をした場合、それを正面からは指摘しません。間違っている側は自分だ、と取れるほどの低姿勢で恐縮しつつ、相手側の誤りを和やかに正すよう努力します。

相手に敬意を表すうえで「与える人側がいて、頂く側がいる」という考え方も存在します。
例えば、名刺交換1つをとっても、ビジネスパートナーの名刺は非常に丁重に扱れます。これは、相手を尊重して両者の間により良い関係を育み、仕事を円滑に進めたいという想いの表れでもあります。

2-5. 場の空気を大切にし礼儀・建前を重んじている

日本では、相手への謙虚さを常に忘れず、場の調和を保ち、相手の気分をできるだけ害さないことも重視されています。
場の良い雰囲気を保つために、礼儀と建前を重んじています。

〇建前
本音では不快に思っていたり、怒っている場合でも場の空気を壊さないよう表に出さず、表向きは気持ちよい対応をすること。本当の気持ちや考えの「本音」と対比して使われる。

〇礼儀
相手に敬意を表すための社会的マナーを指す

ビジネスを始める前段階などに、挨拶や顔見せとして企業を訪れる「表敬訪問」も相手に敬意を表すための礼儀とされています。訪問を通して両者により良い関係性を作り上げ、ビジネスを成功させる狙いがあります。

さらに、日本では初対面でいきなり商談に入ることマナー違反だと考えられています。商談で世間話を始める日本人に不信感を抱いたことがある人もいるでしょう。

これも、軽く雑談を入れることによって場の空気を和ませ、円滑に話をまとめられるよう配慮する日本のビジネスカルチャーの1つです。

2-6. 時間・期限・納期は順守が鉄則となっている

日本の電車の発着時間が正確であることは、世界に広く知られています。

電車の定時発着は日本のビジネスカルチャーのミクロな例ですが、ビジネス界全体でも時間の厳守は鉄則です。始業時刻やアポイントメントの時間・納期は厳守され、約束通りの日時を守ることは必須条件と言われるほど重要視されています。

数分の遅刻が、給与の減額やビジネスパーソンとしての信用の低下、商談の失敗につながる可能性もあります。

3. 日本人と良好な関係を築くための3つの意識

最後は、さまざまルールがある日本において、気持ち良く日本人と仕事を進めていく上でどのような点について配慮しておけば良いのかご紹介します。

日本ならではのビジネスカルチャーを理解し、日本人とより良好な関係を築けくための3つのポイントについて見ていきましょう。

3-1. 和を重んじて相手への気遣いを意識する

その場の雰囲気や集団のおける調和を重んじる日本では、「場」と「相手」によって「本音」と「建前」を使い分ける習慣があります。
そのため日本人と仕事をする場合は、 その場の調和と相手への気遣いを意識すると良いでしょう。

例えば、取引先の先方に何かを断る時でもはっきりと「できません」と断らずに、「もう一度考えなおします」や「検討してみます」などワンクッション挟みます。
「提案の実現に向けて努力する」という意思表示をして、実際には実現が不可能に近いことでも、相手からの希望を無下に扱っていないことを暗に示します。

本音は「NO」であっても、建前が「検討します」にあたります。悪意のない虚言で相手の気分を害することを避け、和を保とうとする日本人の気遣いの表れと言えます。

3-2. 和を重んじて報連相を意識する

日本のビジネスカルチャーの集団で働く上で大切なことは、「和」を乱さないことです。
その上で「ホウレンソウ」は非常に重要な役割を担っており、その上で「ホウレンソウ」は非常に重要な役割を担っており、でしょう。

ホウレンソウ(報連相)とは、日本語の「報告」「連絡」「相談」の3つの言葉の頭文字をとったものです。

〇報連相で行うべき内容
報告:案件の経過状況・クライアントの反応を上司に伝える
連絡:クライアントの希望や変更点の情報を共有する
相談:問題の解決策を計るために相談しアドバイスを求める

「報連相」を積極的に取り入れることで、社内やチーム内での案件の情報を共有し、業績アップ・プロジェクトの成功につなげます。

3-3. 日本の飲み会文化を理解して楽しむ

歓送迎会・忘年会・新年会など、日本の企業では社員同士で、または取引先も交えた、会食が数多く開かれます。会食と言っても堅苦しい席ではなく、業務と業務外の中間に位置する「飲み会」と呼ばれる文化です。

事あるごとに飲み会が開催される意義は、仕事仲間と親交を深める点にもあります。宴席では、礼儀を軽んじる行為は禁止されていますが、役職や肩書き抜きの無礼講として本音での語り合いができることもしばしばです。

業務時間外に仕事の話をするのかと疑問に感じる方もいるかもしれませんが、仕事仲間を理解し日本人の文化を理解する絶好の機会として楽しむことをおすすめします。

まとめ

クライアントや上司に対する「尊敬」や自身の「謙遜」、「和」の尊重など、グローバルなビジネスカルチャーとは異なる日本のビジネス文化を紹介してきました。慣れない方にとって、最初は戸惑いも多いことでしょう。

しかし、日本のビジネスカルチャーにはそれぞれ意義があり、ビジネス成功につながる要素を含んでいます。

まずは周囲の人々や先輩に倣い、徐々に自分のものとして習得し、少しずつ仕事に活かしてください。